シューティングヘッドにしろフルシンキングにしろ、シンクレートの高いラインを振ったときに「重い」と感じたことはないだろうか。
もちろん、ここで解説したとおり、シンクレートが高いとラインが重くなって(=質量が増えて)自分がそう感じる、、、わけではない。
シューティングヘッドを使う場合はロッドの指定番手から1-2番手ほど重いラインを用いましょう。ただし、シンクレートがそれほど高くないものならそれでよいですが、シンクレートが高い場合はロッドの指定番手通りをおすすめします。
教科書にはこのようなニュアンスで書かれていることが多い。
理由は簡単。
まず、ヘッドの場合はフルシンキングと比較してランニングラインが細い。細いということはフルシンキングより軽くてロッドへの負荷が低くなる(ヘッドなのでそんなにオーバーハングはとらないと思うが...)。
この前提に対して、今度はシンクレートの高低が関わってくる(どちらかというとこちらの理由が大きい)。
シンクレートが高いライン
↓
ヘッドのライン径が細くなる
↓
キャスト時の空気抵抗が減る
↓
ラインスピードが上がる
↓
ロッドへの負荷が大きくなる
こうなる。
ロッドへの負荷が大きくなるということは、より曲がるということ。逆に言うと、ロッドへの負荷が少ない場合はあまり曲がらないということ。
空気抵抗が少ないからロッドに負荷がかかる
ここまでの話をまとめると、シンクレートに関わらず同じ程度のロッド負荷を得るためには、空気抵抗が大きくラインスピードが上がりにくいシンクレートの低いものは番手を上げたヘッドを用い、空気抵抗が小さくラインスピードが上がりやすいシンクレートの高いものは番手通りのヘッドを用いればよい。ちなみに、シンクレートが高いヘッドの場合に投射角度を上げるのは、空気抵抗がないぶん下に落ちやすいから。
つまり、上述した教科書的なライン選択は概ね正しい。
とはいえ、ツーハンドのロッドとラインの選択が多種多様化して、もはや標準が何なのかわからなくなっているのと同じで、シューティングヘッドおよびシンクレートに関する教科書的なライン選択は、あくまでも基準であって、絶対ではない。シューティングヘッドでの解説になったが、フルシンキングも基本的に同じと考えてかまわない。
最終的にはロッドのアクションやヘッドの長さ、規格から意図的に外して設計されているラインなのか否か、キャスターの力量あるいは好みで調整することになるだろう。
余談になるが、昨今素早くロードをかけられるようにフロントよりに重心を置くように設計されたラインがある。このようなラインはあまりラインを出さずにクイックにキャストできるようになっているため、ヘッドをすべて出してキャストしようとするとループが破綻することが多い。こうしたラインを使う場合はあまりヘッドを出さず、かつ、無駄なフォルスキャストをせずに速いテンポでキャストしたほうがよい。釣り方・使い方によってはロッドの番手を一つ上げるか、ラインの番手を一つ下げるのもあり。
昨今、特化されたラインが大変多く、特性を理解している経験者にとっては特定のシチュエーションにドンピシャなラインが容易に手に入る一方、フライフィッシングをはじめたばかりに人にとってはライン選択の難易度があがってしまっているのが気がかりだ。
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