2025/06/27

徳之島でフライフィッシングをやる場合の参考情報

 前回の八重山列島(石垣島・西表島)の続き、南西諸島における陸っぱりソルトウォーターフライフィッシングについてのお役立ち?情報。

今回は徳之島の情報をお届けする。

Underwater,フライフィッシング,東京フライフィッシャーのしがない戯言

勝手がわからない方向けに南西諸島のフライフィッシングガイドも実施しておりますので、ぜひどうぞ! 

徳之島は全体的に地味な感じがするのは否めない。しかしながら、その素朴な雰囲気がもたらす未開拓感が釣欲を掻き立てるのは間違いない。トレバリーの魚影は濃く、比較的良型が多い。ミナミクロダイも奄美大島より格段に大きく、宮古島でよく見かけるサイズが期待できる。ムラサメモンガラのアベレージも他の島より大きい。初めて訪れた際、ボーンフィッシュはどうでもよくなってしまったほど、魚影とサイズに驚いた。

西側から南側にかけては断崖絶壁または硬い岩盤に覆われた岩場が多く、フラットフィッシングが成り立つ場所はほとんどない。フライで狙いやすいリーフの多くは東側にあり、飛び石的に空港付近と北側にある程度。

空港北側のリーフはカスミアジの魚影が濃く、ゴマモンの出没率も高い。インリーフを回遊してくるカスミを待ちつつ神出鬼没のゴマモンを狙うか、リーフエッジ付近のスリットでうろうろしているカスミを狙うかだ。

島北側に広がる一見よさげなリーフは潮位が下がると閉鎖空間になってしまうため、取り残された魚しか狙えない。トレバリーを狙うならある程度潮が高いときにおすすめしたいが、堤防前のスリットなら干潮前後でも期待はできる。

ボーンフィッシュで脚光を浴びた某漁港は東側に広がるエリアをおすすめしたい。ここは岸際にミナミクロダイ、岸際からサンゴ帯にはゴマモンガラ、サンゴ帯からリーフエッジ付近はトレバリーが大いに期待できる。なお、このサンゴ帯には枝サンゴがクラスター上に広がっている場所があるので、決して上に乗らないようにしたい。ボーンフィッシュを狙いたいならメディアで有名?な漁港西側から南にかけて広がるサーフになるだろうが、他のエリアでも可能性はあるので固執する必要はないと感じる(実際このサーフ以外でボーンらしき魚を目視で確認している)。

個人的に一押しなのは、島の中心地(街)から北に進んで少し西側に回り込んだ先にある、徳之島では大きめのリーフ。トレバリーとの遭遇率はかなり高い。ここは大きく深いスリットが入り込んでいるため、干潮時でも魚が行き来でき、そのままシャローに上がってくるので大変魚影が濃い。また、カニやフトユビシャコの多さは徳之島随一と言っても過言ではない。岸際は琉球石灰岩の荒々しい起伏のボトムなので、潮位が高いときにウェーディングするのは危険で、潮が大きく引くタイドの干潮前後に沖のフラットで楽しむのがよいだろう。ちなみに、このリーフの南側はポイントの見た目に反して魚っけが乏しいので、無視してもよい。

もう一つ有望な場所がある。..More updates coming soon. Stay tuned!

2024/07/01

ユーロチヌ(ユーロニンフスタイルによる落とし込み・ヘチ釣り・チヌ・クロダイ釣り)

Underwater,フライフィッシング,東京フライフィッシャーのしがない戯言
 

フライフィッシングで釣るクロダイに関しては、浜名湖をはじめとするシャローフラットでの釣りが王道かつ主流であることは誰も否めないだろう。いまでこそサイトでクロダイを釣ることが当たり前になっているが、それ以前はルアーフィッシングをマネてポッパーで狙ったり、落とし込み・ヘチ釣りをマネて重いイガイ・カニパターンをフライラインを使って当たりをとる釣りを行っていたと思う。

前者は主に関西方面で行われていたが、近年東京湾でも通用することがわかり、クロダイが多いエリアではルアーフィッシングだけでなくフライフィッシングでも行われるようになってきた。後者はどうか?ルアーフィッシングでは後述するクロダイの増加と投げ釣り禁止問題に伴い、ガンクロゲームや壁チヌといったスタイルが徐々に浸透しつつあるが、残念ながらフライフィッシングとしては以降の発展は乏しく、ほとんど誰もやっていないのが現状だろう。

「シーバスに代わる東京湾奥のターゲット(クロダイ)を、オカッパリかつ釣り方の制限がある中でフライフィッシングで釣るにはどうすれば?」という問いに対する現時点での最適解

近年、東京湾奥ではシーバスの数が減って、クロダイが激増中である。壁沿いにシーバスが着けなくなるほどクロダイが増えた。一方で、投げ釣りが禁止されてしまったエリアが増えつつあり、ルアーはもちろんフライを振ることも難しくなってきた。サイドキャストに関してギリギリ黙認でOKというところが多かったが、場所によっては明確にNGとされ、アンダーキャストかつ自分の前だけにキャストする場合のみOKになっている。もはや、ルアーフィッシングもフライフィッシングもオカッパリでは絶望的な状況と言えるのが東京湾奥だ。

夜な夜なフライでシーバスをオカッパリで楽しんでいた私は、東京湾でオカッパリができなくなってしまうと自宅から短時間で釣行可能な貴重なフィールドを失ってしまう。そこで、この状況の変化を悲しむのではなく、「どうにかして楽しむ方法はないか?」と考えた。

軽く細いタックル・ラインシステムがキモ

そんな中、昨今のユーロニンフの流行と、ガンクロゲームで使用するリアルではない擬似餌(「ルアー」ではなく、あえて「擬似餌」と書きたい)からヒントを得て、ユーロチヌというスタイルを考えた。もちろん、私が考えたというのはおこがましく、おそらく他の誰かも試みている(いた)と思うが、公な情報がないのでこのエントリで紹介したい。

他の方はご自身の考えがあると思うが、私は、

(1) 8フィート以下の短く張りのよいフライロッド
(2) ゲーム性を高めるためなるべくなら特に何かに似せたものではないフライ
(3) 昔行われていたフライラインを用いた落とし込みではないモノフィラの細いラインシステム


この三つを基本としたユーロニンフのスタイルを軸にしている。

ナイトゲームでのUV効果は絶大

(1) に関しては4−5番程度のトラウトロッド。日本の渓流向きの柔らかいものでは合わせのパワーが伝わりにくくファイトでのされてしまうので、海外製のトラウトロッドやパンフィッシュ用のロッドがベスト。私はEchoのGeckoを使用している。足元から海まで護岸が張り出していたり、水面までだいぶ高さがあったり、階段状に深くなるポイントが多いエリアの場合は8.6フィート程度あってもよいが、9フィートだとさすがに長過ぎるうえ細かい操作がやり辛い(ただし、前打ち的な釣りをするならアリ)。

(2) に関してはサイト用より小さ目、たとえば伊勢尼7-8号にUVマテリアルを使用したもの。形状はなんでもよいと思うが、UVがキモでナイトゲームの場合はほぼ必須と考えた方がよい。私はUVのシェニールをぐるぐる巻きした簡素なものを使用している。具体的にはこちら。もちろん、カニやイガイ・ミジガイのイミテーションでも問題ないが、ナイトゲームで使用するならUVを入れたい。それから、ユーロニンフといえばタングステンビーズだが、テンションを掛けたいナイトゲームでは特に有効。ただし、沈下スピードが速すぎる嫌いがあり現場での重さの調整が難しいので、軽めのダンベルアイやチェーンボールで巻いておき、ガン玉で調整するほうが汎用的。もしタングステンビーズを使用する場合はあまり大きくないものをおすすめする。たとえば、伊勢尼8号で4mmをMaxとして、3mmだと入らないことが多いので、その場合はチヌ針もしくはユーロニンフ用やジグ単用のフックを使用する。

UVについて少し補足したい。クロダイはUVに好反応。デイゲームやナイトゲームでも明るい場所ならよいが、真っ暗なポイントでフライを認識させるために夜間でも微量に降り注ぐ紫外線を最大限に有効活用したい。そのため、夜間はUVの入ったシェニールを多用している。

なお、ガン玉での調整の有無問わずフライ自体を重くしたい場合は、より重いダンベルアイを装着するのではなく、レッドアイやレッドワイヤー、板オモリ、ガン玉や割ビシをフックに挟み込んでプライヤーで潰すなどしてボディ内部にウエイトを持たせたい。5/32を超えるような3/16や7/32といったサイズだとどうしても出っ張りが多くなり、閉じたクロダイの口の中に引っかかりフッキングが甘くなりやすいからだ(アイの上にガン玉を打った場合はフライとの間がフリーになるので、3Bや4Bといった大きめのガン玉でもフッキングが悪くなるようなことはほぼ感じない)。フックサイズ(ゲイプ幅)が小さめだとそれが顕著だが、3/16や7/32といったサイズを使いた場合はフックサイズを上げたりロングシャンク気味のフックに変えることである程度回避できる。

(3) は落とし込み・ヘチ釣り用の道糸もしくはユーロニンフ用のサイターがベストで、太さはストラクチャーの多いところでは3号とし、万能なのは2.5号。3Xや3.5Xのティペットを多用するなら2号のほうが親和性がよい。フライラインは使用しないので、バッキングラインに直接接続でよい。もちろんユーロニンフのようにユーロニンフ用のラインを使用してもよいが、ユーロニンフのように放り投げる(前打ち)スタイルを行わない限り専用ラインとしてはほぼ意味がない。

次にリーダーシステム。サイターとティペットはスイベル(スペイ用の極小スイベルがおすすめ)を介して結ぶ。ティペットがよれて回転しやすいカニパターンのようなフライは警戒されやすいためだが、ほとんど回転しないフライならティペットリングやスプリットリングでもよい。ナイロンのサイターとフロロのティペットなど、素材の異なるモノフィラ同士を直結すると抜けたり切れたりすることが多いのでノットはしっかり締め込みたい。

ティペットはナイトゲームでは2X-2.5Xで、デイゲームの場合はワンランク細くが基準。澄み潮の場合も細くする。ティペットの長さは2フィートあれば十分で、長くても3フィート。なお、水面直下(特にナイトゲーム)で当たる場合はティペットが沈みきらずにサイターが視界に入らない。そのため1フィートにしてしまうこともある。

ナイトゲームの場合はケミホタル必須、ただしラインの位置と沈下スピードの確認が主な役割

そして、ナイトゲームの場合はサイター側にケミホタル(25)を装着したい。常夜灯カンカンの下ではサイターが見えるが、明暗の影になっている場所や常夜灯のない場所ではサイターがほとんど見えないので、明るい場所以外では必須と考えてよい。ただし、後述しているとおりケミホタルそのもので当たりを取ることは少なく、ラインの位置と沈下スピードの確認が主な役割。

次に釣り方。落とし込み・ヘチ釣りのようにエサ+オモリの重さでリールを逆回転させて沈めるようなことはしない。フライリールではその釣り方はマネできないし、ユーロチヌはクロダイが上ずっている夏場を中心とした釣りなので、原則としてフライロッドの長さより深い場所は狙わない(狙えない)。もうおわかりのように、ティペットにフライを結んだ状態でフライをロッドのグリップエンドまで引っ張ったときに引き出されるサイター+ティペットの長さ、つまりフライロッドの全長のラインシステムだけで釣りをする。つまり、リールを逆回転させて落とし込まない場合のヘチ釣りと同じ(潮間帯を狙うタナ釣り)。ただし、足場が高く海面まで距離がある場合は、リールからサイターを引き出して調整する。

具体的な釣り方はこうだ。

(1) 最初にラインシステムをフライロッドの長さと同じ状態まで引き出す(ナイトゲームの場合は後述するケミホタルのセッティングを行う)

(2) ポイントに対して垂直に落とす(デイゲームの場合はフリーフォールまたは軽めのテンションフォール、ナイトゲームの場合はガン玉やジンタンで重さ調整をしつつ軽めのテンションフォールで行い、水面すぐ上のサイターに視線をフォーカスしつつケミホタルまでの間を視界に入れておく)

(3) 違和感(糸がたるむ、糸が横に動く、急に引っ張られる、コツンと当たるなど)を感じたら合わせる

(4) ロッド一本分(ケミホタルを装着している場合はケミホタルが水面に着く程度まで)落とし込んだらカラ合わせ(水切り音が出ない程度に「アタリを聞く」ように軽く合わせ、重さを感じたら追い合わせ)

(4) のあと1-2歩(1m前後)前に進んでから(2)へ。あとはその繰り返し。(2)は壁際ギリギリが鉄則だが牡蠣殻やイガイが密集している場所だと引っかかりやすいのでナイトゲームなら少し離してもよい。垂直護岸だと感覚的には離しても20cmまでで、30cm離れると厳しい。なお、(4)でかかることも多く、当たりを取るのが難しい釣りだとつくづく痛感するが、(3)のあたりを掴めず(4)に期待すると極端に釣果が落ちるので要注意。

このあたりは落とし込み・ヘチ釣りの情報を参考にしてほしいが、少し違うのは(2)の落とし方。ナイトゲームの場合は当たりが非常に取りづらいので、風も波もなく潮もほぼ止まっているような場合を除き、ガン玉やジンタンを追加してリグ全体をやや重くしてテンションをかけながら落とす部分だ。この方法により糸ふけや手に感じる当たりを格段に捉えやすくなる。

ケミホタルは直接見ておらず水面側(水面の上)のラインを注視している

使用するロッドの長さにもよるが、7.6-8フィート程度ならロッドティップからフライまでラインを約2mほど引き伸ばした状態からスタートする。レンジが深めの場合は2.5mほど引き伸ばすし、足場の高いポイントや潮が下がって水面まで距離が出てきた場合も同様に長めに垂らす。反対に水面直下での当たりが多い場合は手返しよく探るためため2m以下まで短くすることもある。フライリールではエサ+オモリの重さでリールを逆回転させて沈めるような釣り方ができないため、狙うレンジ・潮位・足場の高さに応じて臨機応変に長さを調整したい。なお、ケミホタルを使用する場合は一番下までフライを落としたときにケミホタルが水中に入らない程度の位置にセットしたい。

ケミホタルを付けてもそれを注視することは少なく、ケミホタルと水面の間の水面側(水面の上)のラインの変化を感じる(「見る」というより「感じる」が適切)ようにしている。ラインに変化があればケミホタルにも伝わり光の揺れを感じるので、ケミホタルは視界の中になんとなく入っていれば十分である。

はじめての場所では状況がわかるまで探る間隔は一定でよい。よくあたるポイント・ここぞ!というポイントは探る間隔を狭くし、ぱっとしないポイントは間隔を広くして探る。あまり時間のない短時間釣行ではめぼしいポイントのみ探ることもある。また、明らかにうわずっている場合は水面下1メートル程度にし活性の高い魚だけを狙ってテンポよく進むことも考えよう。数百メートルある護岸のストレッチを細かく切り刻んでいくと、端から端まで2-3時間は余裕でかかってしまう。短い時合にアジャストするためにテンポよく探っていくには、横の幅(フライを落とし込む間隔)と縦の幅(フライを落とし込む水深)をうまく組み立てることがとても重要だ。

横の幅(フライを落とし込む間隔)と縦の幅(フライを落とし込む水深)をうまく組み立てる

一度探った護岸を折り返して探ることも有効で、その時に居なかった魚が入っていたり、探っていたレンジに居なかった魚が上がってきたりすることが多い。先行者が多くて前に進めない・エリアを変えても先行者が多い可能性が高い場合は積極的に行おう。なお、復路では往路と異なるレンジと間隔、別のリグ(フライやガン玉の重さを変える)で探ってみるのもおすすめ。あたりが頻発した場所は時間をおいて再度探るとやはりあたることが多い。

フライの重さについてあらためて解説する。メーカーや銘柄によって多少差はあるが、ダンベルアイ1/8でジンタン3号(約0.25g)、ダンベルアイ5/32でガン玉Bの重さ(約0.5g)の重さなので、まずはその基準でダンベルアイまたは同じ重さのチェーンボールを装着したフライを用意し、風や波、潮流など必要に応じてジンタン3号(約0.25g)〜ガン玉3B(約1.0g)程度を追加して調整する。基本は魚に違和感を与えないような微妙に糸がふける程度の重さがよく、重くするよりは軽くしたい。だだ、ナイトゲームかつ暗いポイントだとあたりを取るのが難しいので、やや重めにすることをおすすめする。

私の場合、風もなく凪いでおり潮も動いていない場合はダンベルアイ1/8のフライ+ジンタン3号もしくはダンベルアイ5/32のフライにガン玉なしが多い(つまりどちらもダンベルアイ+ガン玉orジンタンで約0.5g)。風や波っ気があり潮も速い場合はダンベルアイ5/32のフライ+ガン玉B〜3Bが多い(ダンベルアイ+ガン玉で約1.0g〜1.5g)。実際にはこれにフライフックやマテリアルの重さが加わるが、リグ全体で2.0gを超えてくるようだと細かい当たりが取りにくなり、フライを喰ったときに吐き出されるのも速い気がする。ガンクロゲームやエサの場合はリグ全体がもっと重くなると思うが、フライ(ユーロチヌ)だと重いリグでは繊細な釣りができない。

それから、釣りをしている最中はタモの柄やリール、フィッシュグリップなどを柵に当てないようにしたい。ガン玉とダンベルアイを装着したフライが当たる音もとても響く。当たったときに響く「カン!」「コン!」はとてもスプークしやすいので最大限に気をつけたい。魚が見えているときに確認するとよくわかるが、人影や足音以上に警戒される。

全体を通して細かい話はいくつかあるが、大雑把に書くとこんな感じだ。

いかがだろうか。

なお、これは現時点での私の見解であり、今後経験値がさらに増えることでまた違った考えが出てくる可能性は否めない。明日は180度違うことを言っているかもしれないので、その点はご理解ご了承いただきたい。

ユーロニンフ自体が否定されることもある昨今、これをフライフィッシングと呼ぶかは各々の考え・価値観次第なので、ここで言及も議論もするつもりはない。

ユーロチヌ、これはフライフィッシングなのか?

特筆すべきは、デイゲームだけではなく、ナイトゲームでもデイゲームと遜色ない釣果を得られることだ。いや、むしろナイトゲームで楽しむものかもしれないと思うほど夜によく釣れる。真夏の灼熱の東京で真っ昼間のデイゲームは辛いものがあり、また昼間はヘチ釣り師が多くポイント争いになるのと観光客で気が散るので、ナイトゲームがおすすめだ。言うまでもなく真っ昼間でも釣れるが、人混みが嫌い、静かに釣りたい、都会の中での釣りに気が引けるなら、静寂な夜をおすすめしたい。夏は蚊の対策も忘れずに!

もともと、夜間の短時間釣行という湾奥のオカッパリシーバスと同じスタイルでクロダイを釣りたいと考えていたが、ユーロチヌはそれに見事にハマった。

ただでさえ当たりをとるのが簡単ではない夜の落とし込み・ヘチ釣りスタイルで、匂いも味もしないフライ、しかもガンクロゲームで使うルアーより小さ目で軽くアピール力のないものを使用してクロダイを釣ろうとするのだから、側からみたらエキセントリックな釣法に映るかもしれない。

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サイトで使用するような6−8番ロッドだとクロダイをかけてもヒットからランディングまでずっとリールファイトになることはほぼないが、ユーロチヌで使用するロッドは柔らかく、ロッドの真下で掛けるためにラインのスラックがまったくない状態でファイトがスタートする。したがって、毎回最初から最後までほぼリールファイトになる。Geckoだと40cm程度のクロダイでもバットから曲がり、強引に止めるとティペットが簡単に切れてしまうので、毎回ヒヤヒヤする(意訳: 楽しんでいる)。

以下余談。

私はサイトフィッシング中毒者なので、ガイドではないプライベートではサイトでの釣りを最優先にする人だ。渓流はドライフライ専門だし、湖も基本引っ張らずに浮きものしかやらない、南の島のフラットもサイトしかやらない。ライズやテーリングを狙ったり、魚体を直接目視して魚を釣りたい人である。とはいえ、サイトが難しい時間・条件・場所で釣りをしなければならないことだってある。

浜名湖より釣れるのは事実なので、フライで手軽にクロダイを釣りたいなら強くおすすめしたい

夜しか空いていない、遠出する時間がない、でもフライでクロダイが釣りたい、サイトが理想だがブラインドでも許す!というような人(そう私だ)にとってはユーロチヌ@ナイトゲームは救世主。時間あたりのヒット数だけで言えば浜名湖の数倍釣れる。

クロダイが急激に増えている東京湾とはいえ、実際に急増しているのは内湾と呼ばれる湾中(湾央)と湾奥。外湾と呼ばれる湾口は以前からクロダイが多いとされる三浦半島や内房に位置するが、クロダイの数は増えているものの湾奥と比較すると急増した印象はあまりない。湾口エリアの河口や干潟でも思っているほど数は見られない(目視できるようなシャローがあまりないという理由もある)。西日本と比較すると見える魚影は薄く、浜名湖や瀬戸内、九州のようなイメージでシャローでのサイトフィッシングを期待するとうまくいかないことが多い。東京湾のオカッパリでクロダイをイージーに釣りたいのなら、湾口のシャローゲームではなく、湾中(湾央)や湾奥でのユーロチヌをおすすめする。

皆様、特に東京湾奥までさほど遠くないソルトフライフィッシャーはぜひ試してみて欲しい。ポイントや釣り方など勝手がわからない方向けにガイド 「湾奥クロダイ@フライフィッシングガイド」も行っているので、お気軽に!

2023/12/18

漁港のフライフィッシングに適したフライラインとは

 

Underwater フライフィッシング

漁港での対象魚は多い。アジやカマス、メバルといった定番から、セイゴや小さいクロダイやメジナ、ムラソイやカサゴ、外道扱いされるムツやアナハゼ、場所によってはソゲやイシモチなども。ウミタナゴやハタンポといった想定外の魚も掛かる。一応その時々によって狙っている魚はいるが、多くの場合は外道でも嬉しい。対象魚が豊富なソルトウォーターフライフィッシングならではであり、それこそが漁港のフライフィッシングの醍醐味ともいえる。

魚種によってそれぞれポイントやレンジも異なるし、食性も異なる。地域によってはアベレージも違ってくる。よって、釣り方やフライの種類、サイズも千差万別だ。

このように多彩な状況に合わせて都度フライラインを選択しなければならないため、どれか一本だけに絞るのは大変難しいといえる。

したがって、ここではアジやカマス、メバルといったメジャーな魚に合わせて解説したい。それぞれ適したラインを述べるが、なぜそのラインなのかという理由、根拠を理解できれば、他の魚種への応用も苦ではないだろう。

なお、あくまでも当方が嗜んでいる#4-#5ロッドといったウルトラライトソルトウォーターのタックルかつ比較的足場の低い中小規模の漁港を前提としているので、中高番手タックルや足場の高い広々とした港湾部で楽しんでいる方には少し合わないかもしれない。この場合は、ご自身の好みやエリアによって調整を行っていただくことをおすすめする(ここで述べる基本的な考え方は、タックルやエリアが変わっても普遍である)。

まずはアジから。

一本だけに絞るならフルシンキング(フルライン)またはシューティングヘッドのType4をおすすめしたい。着水後すぐに速く引けば表層付近、カウントダウンしてゆっくり引けばボトム付近を探ることができるため、釣っている最中に頻繁に変わるレンジに合わせるには、このシンクレートが適している。

アジはフルシンキング(フルライン)またはシューティングヘッドのType4を基準にして、フォローでインタミ

もう一本追加するならインタミをおすすめしたい。シューティングヘッドでもフルシンキングでも構わないが、二枚潮のようにレンジによって潮流差が大きい場合はライン全体に抵抗がかかるフルシンキングよりシューティングヘッドのほうが棚ボケしにくい。表層付近でプランクトンを捕食しているときは、漂わせるようにゆっくり引けるラインが必要になる。Type4でも表層を引けるが、その場合は速めのリトリーブが必要になり、漂う感じを演出するのは少し難しい。

ただし、例外はあり、表層でマイクロベイトを捕食しているときは速めのリトリーブが有効になることがあるため、Type4でも問題ないだろう。

潮が速い場所やデイゲームなどで深いレンジまで一気に到達させたい場合にType6があれば、という程度だ。

次にカマス。

夜間やマズメ時に表層付近まで上がってくることはあるが、基本的には深い層で群を作るので、そのレンジまで一気に沈めるためにフルシンキング(フルライン)のType6一択。シューティングヘッドではなくフルシンキングをおすすめする。カマスは概ね深い場所にいるが沖合だけでなく意外と足元にいることも多いため、足元まで探りやすいフルシンキングが適している。

カマスはフルシンキング(フルライン)のType6を基準に

フルシンキングだと比重の関係からたわみながら足元で上昇してくるため、カマスのレンジを長く探れる。狙うレンジと釣り人の立ち位置の関係からどうしてもロッドの角度が急になるため、一直線に斜め上に向けて上昇してくるシューティングヘッドだと途中でレンジを外れてしまう。

また、カマスは比較的速めの連続したリトリーブが効果的だが、シンクレートが低いシンキングラインは速く引くとどうしても浮き上がりやすい。シンクレートが高いラインだと、沈む速さと横(実際にはは斜め上)に引っ張られる速さが相殺されるため、リトリーブが多少速くても浮き上がりにくい。

ただし、例外はあり、堤防足元に捨て石など根がある場合は、根掛かり回避のため手前で浮き上がりやすいシューティングヘッドをおすすめする。

最後はメバル。

メバルもレンジが変わりやすい魚であり、釣り場のシチュエーションがアジやカマス以上に多彩であり、引っ張りだけでなくサイト落とし込みも多用するので、一本だけに絞るのはなかなかむずかしい。もし一本だけに絞るならフルラインのフローティングをおすすめしたい。比較的表層で釣れる魚であり、表層のエサを意識している(自分の目線より上を常に見ている)ことが多いためだ。ヤマメがドライフライで釣れやすい理由と似ているかもしれない。

メバルはフルフローティング(フルライン)を基準にして、フォローでType2

釣っている最中に群れの活性が上がってうわずってくることも多いが、レンジが少し低いと感じた場合でもフローティングラインのままウエイトが入ったフライを使用したり、その際にリーダー・ティペットを長めに取ることで概ね解決できる。

もう一本追加するならフルシンキング(フルライン)またはシューティングヘッドでType2だろう。少し深いポイントやシーズン初期でレンジが低めのときの引っ張りに重宝する。Type2を使用したとしても漁港ではせいぜいカウントは5から10程度で、アジやカマスのようにボトム付近まで沈めることはまずない。引っ張りよりもサイト落とし込みを多用する場合も、リーダーシステム全長より深い場所へ落とし込む時を想定してType2がよい(フローティングだと沈下にブレーキが掛かるため)。

ここまでの情報をもとに自分自身のスタイルに合わせて調整すれば、アジ・カマス・メバル以外の魚への応用はできると思う。

え?魚種問わずどうしてもフライラインを一本に絞りたい?

魚種問わず一本だけに絞るならフルシンキング(フルライン)またはシューティングヘッドのType3かType4

その場合はフルシンキング(フルライン)またはシューティングヘッドのType3かType4だろう。これから漁港のフライフィッシングをはじめる場合のまず一本としてもおすすめできる。

UNDERWATER ONLINEでは漁港用のフライラインを取り扱っているので、これから漁港のフライフィッシングを始めようとしている方はぜひどうぞ!

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