2024/07/01

ユーロチヌ(ユーロニンフスタイルによる落とし込み・ヘチ釣り・チヌ・クロダイ釣り)

Underwater,フライフィッシング,東京フライフィッシャーのしがない戯言
 

フライフィッシングで釣るクロダイに関しては、浜名湖をはじめとするシャローフラットでの釣りが王道かつ主流であることは誰も否めないだろう。いまでこそサイトでクロダイを釣ることが当たり前になっているが、それ以前はルアーフィッシングをマネてポッパーで狙ったり、落とし込み・ヘチ釣りをマネて重いイガイ・カニパターンをフライラインを使って当たりをとる釣りを行っていたと思う。

前者は主に関西方面で行われていたが、近年東京湾でも通用することがわかり、クロダイが多いエリアではルアーフィッシングだけでなくフライフィッシングでも行われるようになってきた。後者はどうか?ルアーフィッシングでは後述するクロダイの増加と投げ釣り禁止問題に伴い、ガンクロゲームや壁チヌといったスタイルが徐々に浸透しつつあるが、残念ながらフライフィッシングとしては以降の発展は乏しく、ほとんど誰もやっていないのが現状だろう。

「シーバスに代わる東京湾奥のターゲット(クロダイ)を、オカッパリかつ釣り方の制限がある中でフライフィッシングで釣るにはどうすれば?」という問いに対する現時点での最適解

近年、東京湾奥ではシーバスの数が減って、クロダイが激増中である。壁沿いにシーバスが着けなくなるほどクロダイが増えた。一方で、投げ釣りが禁止されてしまったエリアが増えつつあり、ルアーはもちろんフライを振ることも難しくなってきた。サイドキャストに関してギリギリ暗黙でOKというところが多かったが、場所によっては明確にNGとされ、アンダーキャストかつ自分の前だけにキャストする場合のみOKになっている。もはや、ルアーフィッシングもフライフィッシングもオカッパリでは絶望的な状況と言えるのが東京湾奥だ。

夜な夜なフライでシーバスをオカッパリで楽しんでいた私は、東京湾でオカッパリができなくなってしまうと自宅から短時間で釣行可能な貴重なフィールドを失ってしまう。そこで、この状況の変化を悲しむのではなく、「どうにかして楽しむ方法はないか?」と考えた。

軽く細いタックル・ラインシステムがキモ

そんな中、昨今のユーロニンフの流行と、ガンクロゲームで使用するリアルではない擬似餌(「ルアー」ではなく、あえて「擬似餌」と書きたい)からヒントを得て、ユーロチヌというスタイルを考えた。もちろん、私が考えたというのはおこがましく、おそらく他の誰かも試みている(いた)と思うが、公な情報がないのでこのエントリで紹介したい。

他の方はご自身の考えがあると思うが、私は、

(1) 8フィート以下の短く張りのよいフライロッド
(2) ゲーム性を高めるためなるべくなら特に何かに似せたものではないフライ
(3) 昔行われていたフライラインを用いた落とし込みではないモノフィラの細いラインシステム


この三つを基本としたユーロニンフのスタイルを軸にしている。

ナイトゲームでのUV効果は絶大

(1) に関しては4−5番程度のトラウトロッド。日本の渓流向きの柔らかいものでは合わせのパワーが伝わりにくくファイトでのされてしまうので、海外製のトラウトロッドやパンフィッシュ用のロッドがベスト。私はEchoのGeckoを使用している。

(2) に関してはサイト用より小さ目、たとえば伊勢尼7-8号にUVマテリアルを使用したもの。形状はなんでもよいと思うが、UVがキモでナイトゲームの場合はほぼ必須と考えた方がよい。私はUVのシェニールをぐるぐる巻きした簡素なものを使用している。具体的にはこちら。もちろん、カニやイガイ・ミジガイのイミテーションでも問題ないが、ナイトゲームで使用するならUVを入れたい。ユーロニンフといえばタングステンビーズだが、もちろんOKでテンションを掛けたいナイトゲームでは特に有効。ただし、沈下スピードが速すぎる嫌いがあり現場での重さの調整が難しいので、軽めのダンベルアイやチェーンボールで巻いておき、ガン玉で調整するほうが汎用的。もしタングステンビーズを使用する場合はあまり大きくないものをおすすめする(伊勢尼8号で4mmをMaxとして、3mmだと入らないことが多いので、その場合はチヌ針もしくはユーロニンフ用やジグ単用のフックを使用)。

なお、ガン玉での調整の有無問わずフライ自体を重くしたい場合は、より重いダンベルアイを装着するのではなく、レッドワイヤーや板オモリ、ガン玉や割ビシをフックに挟み込んで潰すなどしてボディ内部にウエイトを持たせたい。5/32を超えるような3/16や7/32といったサイズだとどうしても出っ張りが多くなり、閉じたクロダイの口の中に引っかかりフッキングが甘くなりやすいからだ(アイの上にガン玉を打った場合はフライとの間がフリーになるので、3Bや4Bといった大きめのガン玉でもフッキングが悪くなるようなことはほぼ感じない)。フックサイズ(正しくはゲイプ幅)が小さめだとそれが顕著だが、3/16や7/32といったサイズを使いた場合はフックサイズを上げたりロングシャンク気味のフックに変えることである程度回避できる。

(3) は落とし込み・ヘチ釣り用の道糸もしくはユーロニンフ用のサイターがベストで、太さはストラクチャーの多いところでは3号とし、万能なのは2.5号。フライラインは使用しないので、バッキングラインに直接接続でよい。もちろんユーロニンフのようにユーロニンフ用のラインを使用してもよいが、ユーロニンフのように放り投げることはしないのでラインとしては意味がない。ただし、ユーロニンフ用のラインを間に挟むとリールファイト中のハンドリングがよいのが利点といえる(サイターのような細いモノフィラだとユーロニンフ用のリールではない場合にリールファイトで噛んでしまうことがある、特にオープンフレーム)。

次にリーダーシステム。サイターとティペットはスイベル(スペイ用の極小スイベルがおすすめ)を介して結ぶ。ティペットがよれて回転しやすいフライ(カニパターンで顕著)は警戒されやすいためだが、ほとんど回転しないフライならティペットリングやスプリットリングでもよい。ナイロンのサイターとフロロのティペットなど、素材の異なる糸同士を直結すると抜けたり切れたりすることが多いので注意。

ティペットはナイトゲームでは2X-2.5Xで、デイゲームの場合はワンランク細くが基準。ティペットの長さは2フィートあれば十分で、長くても3フィート。なお、水面直下(特にナイトゲーム)で当たる場合はティペットが沈みきらずにサイターが視界に入らない。そのため1フィートにしてしまうこともある。

ナイトゲームの場合はケミホタル必須、ただしラインの位置と沈下スピードの確認が主な役割

そして、ナイトゲームの場合はサイター側にケミホタル(25)を装着したい。常夜灯カンカンの下ではサイターが見えるが、明暗の影になっている場所や常夜灯のない場所ではサイターがほとんど見えないので必須と考えてよい。ただし、後述しているとおりケミホタルそのもので当たりを取ることは少なく、ラインの位置と沈下スピードの確認が主な役割。

次に釣り方。落とし込み・ヘチ釣りのようにエサの重さでラインを引き出して沈めるようことはしない。フライリールではその釣り方はマネできないし、ユーロチヌはクロダイが上ずっている夏場を中心とした釣りなので、フライロッドの長さより深い場所は狙わない(狙えない)。もうおわかりのように、ティペットにフライを結んだ状態でフライをロッドのグリップエンドまで引っ張ったときに引き出されるサイター+ティペットの長さ、つまりフライロッドの全長のラインシステムだけで釣りをする(つまり、リールを逆回転させて落とし込まない場合のヘチ釣りと同じ)。ただし、足場が高く海面まで距離がある場合は、リールからサイターを引き出して調整する。

具体的な釣り方はこうだ。

(1) 最初にラインシステムをフライロッドの長さと同じ状態まで引き出す(ナイトゲームの場合は後述するケミホタルのセッティングを行う)

(2) ポイントに対して垂直に落とす(デイゲームの場合はフリーフォールまたは軽めのテンションフォール、ナイトゲームの場合はガン玉やジンタンで重さ調整をしつつ軽めのテンションフォールで行い、水面すぐ上のサイターに視線をフォーカスしつつケミホタルまでの間を視界に入れておく)

(3) 違和感(糸がたるむ、糸が横に動く、急に引っ張られる、コツンと当たるなど)を感じたら合わせる

(4) ロッド一本分(ケミホタルを装着している場合はケミホタルが水面に着く程度まで)落とし込んだらカラ合わせ(水切り音が出ない程度に「アタリを聞く」ように軽く合わせ、重さを感じたら追い合わせ)

(4) のあと1-2歩(1m前後)前に進んでから(2)へ。あとはその繰り返し。(2)は壁際ギリギリが鉄則だが牡蠣殻やイガイが密集している場所だと引っかかりやすいのでナイトゲームなら少し離してもよい。なお、(4)でかかることも多く、当たりを取るのが難しい釣りだとつくづく痛感するが、(3)のあたりを掴めず(4)に期待すると極端に釣果が落ちるので要注意。

このあたりは落とし込み・ヘチ釣りの情報を参考にしてほしいが、少し違うのは(2)の落とし方。ナイトゲームの場合は当たりが非常に取りづらいので、風も波もなく潮もほぼ止まっているような場合を除き、ガン玉やジンタンを追加してリグ全体をやや重くしてテンションをかけながら落とす部分だ。この方法により糸ふけや手に感じる当たりを格段に捉えやすくなる。

ケミホタルは直接見ておらず水面側(水面の上)のラインを注視している

ケミホタルを使用する場合はロッドティップから30cm〜50cmほど下の位置にくるようにセットしたい。Geckoならティップから約30cmの位置がデフォルトで、水面直下での当たりが多い場合はティップから60cm-100cmほど下げてしまうことも多い。いずれも、足場が高い場所でサイターを長めに引き出す場合は、その分を考慮してケミホタルをティップからさらに下げる。なお、ケミホタルを付けてもそれを注視することは少なく、ケミホタルと水面の間の水面側(水面の上)のラインの変化を感じる(「見る」というより「感じる」が適切)ようにしている。ラインに変化があればケミホタルにも伝わり光の揺れを感じるので、ケミホタルは視界の中になんとなく入っていれば十分である。

はじめての場所では状況がわかるまで探る間隔は一定でよい。よくあたるポイント・ここぞ!というポイントは探る間隔を狭くし、ぱっとしないポイントは間隔を広くして探る。あまり時間のない短時間釣行ではめぼしいポイントのみ探ることもある。また、明らかにうわずっている場合は水面下1メートル程度にし活性の高い魚だけを狙ってテンポよく進むことも考えよう。数百メートルある護岸のストレッチを細かく切り刻んでいくと、端から端まで2-3時間は余裕でかかってしまう。短い時合にアジャストするためにテンポよく探っていくには、横の幅(フライを落とし込む間隔)と縦の幅(フライを落とし込む水深)をうまく組み立てることがとても重要だ。

横の幅(フライを落とし込む間隔)と縦の幅(フライを落とし込む水深)をうまく組み立てる

一度探った護岸を折り返して探ることも有効で、その時に居なかった魚が入っていたり、探っていたレンジに居なかった魚が上がってきたりすることが多い。先行者が多くて前に進めない・エリアを変えても先行者が多い可能性が高い場合は積極的に行おう。なお、復路では往路と異なるレンジと間隔、別のリグ(フライやガン玉の重さを変える)で探ってみるのもおすすめ。

フライの重さについてあらためて解説する。メーカーによって多少差はあるが、ダンベルアイ1/8でジンタン3号(約0.25g)、ダンベルアイ5/32でガン玉Bの重さ(約0.5g)の重さなので、まずはその基準でダンベルアイ(もちろん同じ重さのチェーンボールでも可)を装着したフライを用意し、風や波、潮流など必要に応じてジンタン3号(約0.25g)〜ガン玉3B(約1.0g)程度を追加して調整する。

私の場合、風もなく凪いでおり潮も動いていない場合はダンベルアイ1/8のフライ+ジンタン3号もしくはダンベルアイ5/32のフライにガン玉なしが多い(つまりどちらもダンベルアイ+ガン玉orジンタンで約0.5g)。風や波っ気があり潮も速い場合はダンベルアイ5/32のフライ+ガン玉B〜3Bが多い(ダンベルアイ+ガン玉で約1.0g〜1.5g)。実際にはこれにフライフックやマテリアルの重さが加わるが、リグ全体で2.0gを超えてくるようだと当たりが出にくいように感じる。ガンクロゲームやエサの場合はリグ全体がもっと重くなると思うが、フライ(ユーロチヌ)だと重いリグでは繊細な釣りができない。

全体を通して細かい話はいくつかあるが、大雑把に書くとこんな感じだ。

いかがだろうか。

なお、これは現時点での私の見解であり、今後経験値がさらに増えることでまた違った考えが出てくる可能性は否めない。明日は180度違うことを言っているかもしれないので、その点はご理解ご了承いただきたい。

ユーロニンフ自体が否定されることもある昨今、これをフライフィッシングと呼ぶかは各々の考え・価値観次第なので、ここで言及も議論もするつもりはない。

ユーロチヌ、これはフライフィッシングなのか?

特筆すべきは、デイゲームだけではなく、ナイトゲームでもデイゲームと遜色ない釣果を得られることだ。いや、むしろナイトゲームで楽しむものかもしれないと思うほど夜によく釣れる。真夏の灼熱の東京で真っ昼間のデイゲームは辛いものがあるため、ナイトゲームがおすすめだ。もともと、オカッパリでシーバスを釣る時はもっぱら夜だったこともあり、短時間の夜間という同じ釣行スタイルでクロダイを釣りたいと考えていた。ユーロチヌはそれに見事にハマった。いまでこそフライフィッシングによるサイトフィッシングが一番面白いと思っており難しい釣りほど燃えるが、そこに至るまで様々な釣りを経験し、その中には渓流のミャク釣りもあった。「シンプルな仕掛を用い、ほとんどラインが見えない夜に、ブラインドで繊細な当たりを取る」というテクニカルな部分がミャク釣りを彷彿とさせ、この私を掻き立てるのだろう。

ただでさえ当たりをとるのが簡単ではない夜の落とし込み・ヘチ釣りスタイルで、匂いも味もしないフライ、しかもガンクロゲームで使うルアーより小さ目で軽くアピール力のないものを使用してクロダイを釣ろうとするのだから、側からみたらエキセントリックな釣法に映るかもしれない。

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サイトで使用するような6−8番ロッドだとクロダイをかけてもヒットからランディングまでずっとリールファイトになることはほぼないが、ユーロチヌで使用するロッドは柔らかく、ロッドの真下で掛けるため、毎回最初から最後までほぼリールファイトになる。Geckoだと40cm程度のクロダイでもバットから曲がり、強引に止める(実際には魚が強すぎて止められない)とティペットが簡単に切れてしまうので、毎回ヒヤヒヤする(意訳: 楽しんでいる)。

以下余談。

私はサイトフィッシング中毒者なので、ガイドではないプライベートではサイトでの釣りを最優先にする人だ。渓流はドライフライ専門だし、湖も基本引っ張らずに浮きものしかやらない、南の島のフラットもサイトしかやらない。ライズやテーリングを狙ったり、魚体を直接目視して魚を釣りたい人である。とはいえ、サイトが難しい時間・条件・場所で釣りをしなければならないことだってある。

浜名湖より釣れるのは事実なので、フライで手軽にクロダイを釣りたいなら強くおすすめしたい

夜しか空いていない、遠出する時間がない、でもフライでクロダイが釣りたい、サイトが理想だがブラインドでも許す!というような人(そう私だ)にとってはユーロチヌ@ナイトゲームは救世主。時間あたりのヒット数だけで言えば浜名湖の数倍釣れる。

クロダイが急激に増えている東京湾とはいえ、実際に急増しているのは内湾と呼ばれる湾中と湾奥。外湾と呼ばれる湾口は以前からクロダイが多いとされる三浦半島や内房に位置するが、クロダイの数は増えているものの湾奥と比較すると急増した印象はあまりない。湾口エリアの河口や干潟でも思っているほど数は見られない(目視できるようなシャローがあまりないという理由もある)。西日本と比較すると見える魚影は薄く、浜名湖や瀬戸内、九州のようなイメージでシャローでのサイトフィッシングを期待するとうまくいかないことが多い。東京湾のオカッパリでクロダイをイージーに釣りたいのなら、湾口のシャローゲームではなく、湾中や湾奥でのユーロチヌをおすすめする。

皆様、特に東京湾奥までさほど遠くないソルトフライフィッシャーはぜひ試してみて欲しい。ポイントや釣り方など勝手がわからない方向けにガイド 「湾奥クロダイ@フライフィッシングガイド」も行っているので、お気軽に!

2023/12/18

漁港のフライフィッシングに適したフライラインとは

 

Underwater フライフィッシング

漁港での対象魚は多い。アジやカマス、メバルといった定番から、セイゴや小さいクロダイやメジナ、ムラソイやカサゴ、外道扱いされるムツやアナハゼ、場所によってはソゲやイシモチなども。ウミタナゴやハタンポといった想定外の魚も掛かる。一応その時々によって狙っている魚はいるが、多くの場合は外道でも嬉しい。対象魚が豊富なソルトウォーターフライフィッシングならではであり、それこそが漁港のフライフィッシングの醍醐味ともいえる。

魚種によってそれぞれポイントやレンジも異なるし、食性も異なる。地域によってはアベレージも違ってくる。よって、釣り方やフライの種類、サイズも千差万別だ。

このように多彩な状況に合わせて都度フライラインを選択しなければならないため、どれか一本だけに絞るのは大変難しいといえる。

したがって、ここではアジやカマス、メバルといったメジャーな魚に合わせて解説したい。それぞれ適したラインを述べるが、なぜそのラインなのかという理由、根拠を理解できれば、他の魚種への応用も苦ではないだろう。

なお、あくまでも当方が嗜んでいる#4-#5ロッドといったウルトラライトソルトウォーターのタックルかつ比較的足場の低い中小規模の漁港を前提としているので、中高番手タックルや足場の高い広々とした港湾部で楽しんでいる方には少し合わないかもしれない。この場合は、ご自身の好みやエリアによって調整を行っていただくことをおすすめする(ここで述べる基本的な考え方は、タックルやエリアが変わっても普遍である)。

まずはアジから。

一本だけに絞るならフルシンキング(フルライン)またはシューティングヘッドのType4をおすすめしたい。着水後すぐに速く引けば表層付近、カウントダウンしてゆっくり引けばボトム付近を探ることができるため、釣っている最中に頻繁に変わるレンジに合わせるには、このシンクレートが適している。

アジはフルシンキング(フルライン)またはシューティングヘッドのType4を基準にして、フォローでインタミ

もう一本追加するならインタミをおすすめしたい。シューティングヘッドでも構わないが、どちらかというとフルシンクの方が扱いやすい。表層付近でプランクトンを捕食しているときは、漂わせるようにゆっくり引けるラインが必要になる。Type4でも表層を引けるが、その場合は速めのリトリーブが必要になり、漂う感じを演出するのは少し難しい。

ただし、例外はあり、表層でマイクロベイトを捕食しているときは速めのリトリーブが有効になることがあるため、Type4でも問題ないだろう。

潮が速い場所やデイゲームなどで深いレンジまで一気に到達させたい場合にType6があれば、という程度だ。

次にカマス。

夜間やマズメ時に表層付近まで上がってくることはあるが、基本的には深い層で群を作るので、そのレンジまで一気に沈めるためにフルラインのType6一択。シューティングヘッドではなくフルラインをおすすめする。カマスは概ね深い場所にいるが沖合だけでなく意外と足元にいることも多いため、足元まで探りやすいフルシンキング(フルライン)が適している。

カマスはフルシンキング(フルライン)のType6を基準に

フルシンキングだと比重の関係からたわみながら足元で上昇してくるため、カマスのレンジを長く探れる。狙うレンジと釣り人の立ち位置の関係からどうしてもロッドの角度が急になるため、一直線に斜め上に向けて上昇してくるヘッドだと途中でレンジを外れてしまう。

また、カマスは比較的速めの連続したリトリーブが効果的だが、シンクレートが低いシンキングラインは速く引くとどうしても浮き上がりやすい。シンクレートが高いラインだと、沈む速さと横(実際にはは斜め上)に引っ張られる速さが相殺されるため、リトリーブが多少速くても浮き上がりにくい。

ただし、例外はあり、堤防足元に捨て石など根がある場合は、根掛かり回避のため手前で浮き上がりやすいシューティングヘッドをおすすめする。

最後はメバル。

メバルもレンジが変わりやすい魚であり、釣り場のシチュエーションがアジやカマス以上に多彩であり、引っ張りだけでなくサイト落とし込みも多用するので、一本だけに絞るのはなかなかむずかしい。もし一本だけに絞るならフルラインのフローティングをおすすめしたい。比較的表層で釣れる魚であり、表層のエサを意識している(自分の目線より上を常に見ている)ことが多いためだ。ヤマメがドライフライで釣れやすい理由と似ているかもしれない。

メバルはフルフローティング(フルライン)を基準にして、フォローでType2

釣っている最中に群れの活性が上がってうわずってくることも多いが、レンジが少し低いと感じた場合でもフローティングラインのままウエイトが入ったフライを使用したり、その際にリーダー・ティペットを長めに取ることで概ね解決できる。

もう一本追加するならフルシンキング(フルライン)またはヘッドでType2だろう。少し深いポイントやシーズン初期でレンジが低めのときの引っ張りに重宝する。Type2を使用したとしても漁港ではせいぜいカウントは5から10程度で、アジやカマスのようにボトム付近まで沈めることはまずない。引っ張りよりもサイト落とし込みを多用する場合も、リーダーシステム全長より深い場所へ落とし込む時を想定してType2がよい(フローティングだと沈下にブレーキが掛かるため)。

ここまでの情報をもとに自分自身のスタイルに合わせて調整すれば、アジ・カマス・メバル以外の魚への応用はできると思う。

え?魚種問わずどうしてもフライラインを一本に絞りたい?

魚種問わず一本だけに絞るならフルシンキング(フルライン)またはシューティングヘッドのType3かType4

その場合はフルシンキング(フルライン)またはシューティングヘッドのType3かType4だろう。これから漁港のフライフィッシングをはじめる場合のまず一本としてもおすすめできる。

UNDERWATER ONLINEでは漁港用のフライラインを取り扱っているので、これから漁港のフライフィッシングを始めようとしている方はぜひどうぞ!

漁港FF用シューティングライン一式(ヘッド+ランニング)
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2023/06/07

南の島でのフライフィッシングによるトロピカルフィッシュ五目釣りのコツ


Underwater,フライフィッシング,東京フライフィッシャーのしがない戯言
 

奄美や沖縄本島、宮古島石垣島など、南の島フラットでの本命はトレバリーであり、対抗としてトリガーだろうか。どちらも簡単ではない上に、ガチで狙っても遠征中に1匹も手中に収めることができないという結果になることも珍しくない。

トレバリーのクルージング待ちやトリガーのテーリング待ちで手持ち無沙汰のときに相手してくれるのが、フラットに生息する小型魚だ。多くは20-30cm程度、まれに40cm超程度のサイズということもありどうしても外道扱いされることが多いが、南の島特有の色彩豊かな魚種が楽しませてくれる。潮位が高めの場合はブラインドが主体になるが、干潮前後や状況によっては魚体を確認できるので、サイトフィッシングでも楽しめる。

ムラサメモンガラ、マトフエフキ、カンモンハタ…癒やしの五目釣り

ムラサメモンガラ、マトフエフキ、カンモンハタ、モチノウオ、オジサン、コーフ...何が釣れるかわからないのも魅力である。十数センチほどの魚もたくさんいるが、フライをかなり小さくしなければならないのと、そこまでしてわざわざ狙うほどのサイズではないのでここでは対象外としたい。

フラットにはサンドフラット、マディフラット、リーフフラット、それらの混在など、ボトムのマテリアルに応じて多彩なポイントが広がり、明るい水色も相まって魚がたくさんいるように感じる。南の島なら簡単に釣れるだろうと思ってしまうが、実際にはそう簡単ではない。 サンドフラットでもマディフラットでも魚はいるが、サンゴやウィードなどの混在ボトムを除き五目釣りにはあまり向かない。いかにもといったトロピカルフィッシュを釣りたい!と思うならリーフフラットを強くおすすめする。サンドフラット、マディフラットよりポイントを絞りやすく、魚種も豊富だからだ。おそらく皆さんの頭の中で想像している南の島での釣りのイメージそのものになるだろう。イメージは南の島での五目フライフィッシングをどうぞ!

フラットでは「変化」を狙おう

コバンアジやコーフのように移動を繰り返す魚もいれば、ムラサメモンガラやカンモンハタのように定着性の強い魚もいるのでポイントを一括りにはできないが、どちらの魚を狙うにしても最重要要素として考えなければならないのは「変化」である。

潮の流れや潮目(ウェーディングしているときに感じる水温の変化やスカムラインで判別できる)、岩やサンゴ、ウィードなどのストラクチャー、カケアガリや窪み、ボトムマテリアルの違いなど、これらすべて「変化」として捉えたい。その「変化」に潮の流れが加わっていれば一級ポイント間違いなし。潮通しの良い場所は良型の強い魚が多い。

「変化」というと何やら難しく思えてしまうが、渓流や湖でのポイントの見極めと全く同じ。南の島だとどこにでも魚がいるように錯覚してしまうので、いつも以上に「変化」を意識したい。

魚が着くのはこうした「変化」なので、フライを投入するのは「変化」に絞りたい。適当に投げても釣れないことはないが、無駄なキャストが増えることで魚が警戒してしまうのでおすすめしない。

また、ポイントに近づきすぎるのもよくなく、10メートルは離れて狙いたい。渓流以上、フラットのサイトフィッシング未満の距離感といえばイメージしやすいかもしれない。もっとも、コントロールできる範囲で距離は取ったほうが有利なことは間違いない。

ド干潮以外では魚影を確認するのが難しいことが多いのでアプローチは気が緩みがちだが、五目釣りと舐めてかかると痛い目に遭う。移動するときはバシャバシャ音を立てるのではなく、ソロリソロリと足を運びたい。活きたサンゴが多い場所では踏み潰さないように、サンゴの間を縫って歩いてほしい。サンゴの上には決して乗らないこと。このあたりは通常のフラットフィッシングと同じ。

強すぎじゃないか?と思ってしまうが8番ロッドが最適

タックルに関して。サンドフラットやマッディフラットならほぼ根もないので6番で問題ないが、いかにもといったトロピカルフィッシュが生息するリーフフラットでは8番は欲しい。リーフに生息する多くの魚種はファイト中にサンゴの穴やウィードに突っ込もうとするのと、フッキング直後のファーストランをかわすためにもバットパワーが必要だ。トレバリーやトリガーを狙っている合間の五目釣りならそれ相応のロッドを使用していると思うので問題ないだろう。

ラインはフローティング、リーダーはナイロンで全長は9-12フィート程度、ティペットはフロロ20ポンド一択でよい。経験上ティペットを細くしたところで釣果が変わる印象はない。根掛かりや根ズレ、歯による損傷を考えると魚の大きさに対して太めを推奨したい。トレバリーやトリガー狙いならティペットそのままでフライだけ変えれば済むという理由もある。なお、ド干潮あたりのスネ下潮位の場合は、クリアティップのラインもしくはリーダー長めをおすすめしたい。

ロッド8番+ティペット20ポンド+小さくても太軸のフライフックなら不意にトレバリーや大型トリガーが現れてもそのまま狙うことができるので、安心して五目釣りに専念できるだろう。

なんでも釣りたいならフックは小さめがおすすめ

フライは太軸の#8前後が理想。ゲイプ幅でいうとTMC811S換算で#8、管付き伊勢尼換算で7-8号あたりか。それより大きいサイズ、例えば#4や#2でも食ってくるフエ系・フエフキ系やハタ系のような魚はいるが、ムサラメモンガラやモチノウオのように魚体の割に口の小さい魚も多いので、特に狙う魚が定まっておらずとりあえずなんでも釣りたいなら小さめをおすすめする。

また、口の硬い魚も多いので細軸フックは避けたほうが良い。細い分刺さりは良いが、ファイト中やフックを外すときに折れたり曲がったりするのと、根掛かりした場合の回収率が極端に下がる(太いティペットで太軸のフックなら回収できることが多い)。小さくても8番ロッドを絞り込むパワーがあるので侮ってはいけない。

サンドフラットやマッディフラットではなくリーフフラットの場合はフライにガードは必須。サンゴは想像以上に引っかかりやすい。なお、エダサンゴに引っかかっているとわかっている場合は、ラインを引っ張らずに手で外しに行こう。エダサンゴはとても折れやすい。

使用するフライや狙う魚、ポイントにもよるが、スースー、チョンチョンのような喰わせの間を入れる単純なリトリーブでよい。サンドフラットやマディフラットならボトムトレースでよいが、リーフフラットはボトムを取る必要はないのでストラクチャー脇の中層を泳がすイメージでよい。

なお、リーフフラットの場合はサンゴや岩のすぐ脇を通したい(サンゴの窪みを狙う場合はエッジ付近の窪み側)。ウィードの場合も脇でよいが、ウィード上端と水面の間がある程度ある場合はウィードの真上を通すこともおすすめしたい。

魚種別のポイント違いだと、ムラサメモンガラやマトフエは砂地にウィードとサンゴや岩が絡む場所。モチノウオやオジサンもムラサメモンガラやマトフエと同じようなストラクチャーにいるが、ムラサメモンガラよりやや潮通しの良い場所を好むので、流れのあるチャンネル付近やリーフエッジに近い沖目がよい。ムネアカクチビも潮通しのよい場所。カンモンハタは潮間帯より下に多いので、波っ気の少ないやや水深のある根を狙おう(ド干潮の水深20cmでも根があれば居る)。

また、下げからド干潮はボトムの窪みに魚が溜まりやすく、上げのときはチャンネルから魚が差してくるので積極的に狙いたい。それと潮位が若干高めのときに現れる潮目付近も重要で、ゴミが集まっている筋や水温が急に変わる付近は魚が溜まりやすい。

潮位的には低めが狙いやすく、個人的にはナーバスウォーターを出しながらストラクチャー周りをウロウロするムラサメモンガラをサイトで狙いやすいド干潮潮止まり前後が一番楽しいと感じる。

きちんとターンオーバーはさせること

いずれにせよ、テーリング狙いのようにアキュラシーに神経質になる必要はないが、きちんとターンオーバーはさせたい。浅い分ループが乱れたままの着水はやはり警戒されやすいのと、落パクで喰ってくるときもあるからだ。

バイトは比較的明確で、ゴゴゴ!やドスン!という感じで手元に来るので、そのまま2-3回ストリッピングで合わせてからロッドで追い合わせするイメージでよい。バイトの瞬間にロッドを立てるとバレることが多い。このあたりはテーリング狙いのクロダイ、トリガーはもちろんのこと、湖での引っ張りと同様。リーフフラットの場合はフッキングしたらすぐに寄せにかからないと根に入られるので注意、ランディング寸前までは油断できない。

歯の鋭い魚や棘のある魚が多いのでランディング時はフィッシュグリップを使うか、余裕があればネットで掬いたい。毒魚もいるので同定できない怪しい魚がつれたら直接触らないようにしたい。

根掛かりした場合は糸を切らずに可能な限り回収してほしい。五目釣りの場合は潮位が低いときに行うことが多いので、フライを回収することは容易だ。 

ストラクチャーに逃げ込まれた場合はラインのテンションを抜いてしばらく放置していれば魚のほうから出てくるので、無理に引っ張らないようにしたい。どうしても出てこない場合は魚体を掴んで引っ張り出そう。ムラサメモンガラのように棘のある魚は棘で、カンモンハタのような根魚は胸鰭で引っかかっているので、棘や鰭を掴んで折りたためば抜ける。

なお、手で引っ張り出す場合、魚が確認できているなら問題ないのだが、見えない場合は噛まれないように注意。フッキングした魚以外にも攻撃してくる魚や毒魚などもいるので注意してほしい。少なくとも素手ではなくグローブを嵌めた状態をおすすめする。

貴重な資源なのでリリースしてほしい

それと、強要するつもりはないが、いずれの魚もリリースを前提としてほしい。特にカンモンハタのような成長が遅くテレトリー意識の高い魚に与える影響はとても大きい。

いかがだろうか。

標準的なタックルに関しては上述したとおりだが、各々好きなタックルで楽しんでほしい。特にフラットシューズを履いた状態でくるぶしくらいの低潮位の場合は5番前後の軽いラインのほうがラインインパクトも少なく場を荒らしにくい。私自身、4番のグラスロッドで楽しむこともある。

よいポイントに当たると連発するので、トレバリーやトリガー狙いの合間だけに留めず、トロピカルフィッシュを専門に狙うのも大いにありだ。観光ついでに短時間で楽しめるので、ガチ釣行がなかなか叶わないお父さんが家族サービスの合間にチョイ釣りをしたり、普段渓流しかやらない人にも最適だろう。そうした釣りなら管釣り用の5番前後のタックルで十分楽しめる。沖縄出張ついでの「出釣」にも相性がいい。

南の島での五目フライフィッシングをどうぞ!

トロピカル五目釣りに限った話ではないが、最後に注意点をひとつ。

多くの場合はレンタカー含め車での釣行になると思うが、車を停める場所に注意したい。南西諸島は観光地化が進み私有地への違法駐車や海岸への乗り入れが問題になっている(特に宮古島・伊良部島、石垣島)。首都圏近郊の漁港ほどではないが、以前駐車できた場所が駐車禁止や進入禁止になったり変化が激しい。

不安ならポイントから離れた場所でも公共の駐車場に停めるか、近くに止められる場所がないならいっそ諦めるくらいの心構えで挑んでほしい。

「ここいい感じだなぁ〜」と思っても近くに車を停める場所が見当たらないことも多いので、現地住民に訊くのもありだ。その方が釣りをする人なら有益な情報も聞き出せるかもしれない。